うぃんつり3.1

情報系研究所准教授(32)のブログです。Twitter/Facebookができてからは、海外出張時における仕事外の話を書くだけの場になってしまっています。

トップエスイー

形式手法系イベントのお知らせ: 入門セミナー

いまだにやっぱり「形式手法とは?(きちんと聞きたい)」というくらいのニーズをぶつけて下さる産業界の方々が多いのと,かといってこういうWebサイトで読み物を提供するだけだと何とも言えないことが多いので,「実際に触ってみる」入門セミナーをやらせていただくことになりました.

詳しくはこちら

ありきたりな入門だけではなく,ついに和訳本が出たAlloyも含めて様々な手法を俯瞰するとか,最近よく整理されているガイダンスや応用事例集を俯瞰するとか,そういうことも要望が多いのでこの機会に整理する予定です.


なお,VDM++本は明日が発売日です.Amazonで買うと数日前にフライングゲットできたとの報告を受けています.そういう方がいらっしゃったことがありがたいです.

自分は出版社から先週もらっていたので,早速秋葉原のキンコーズに持ち込んで105円できれいにばらばらにしてもらいました.初めての自炊です.最後の方の校正何往復かはずっと紙ベースだったので,完成版はファイルとしては持っていないのですよね.もちろん個人的な利用のため(ぱっと内容確認したり検索したりするため)ということで.

ご報告1: 本が出ます

近代科学社からVDMの本を出させていただくことになりました.監修者の九大荒木先生には本当にお世話になりました.27日発売です.


本という媒体では厳しいところ,例えば最新のツールの具体的なことや記述例のバリエーションについては,関連してWebサイトも簡単に作りました.Eclipseベースの新しいツールであるOverture IDEの利用法説明も含め,細かいマニュアルを見る段階に行く前に必要になるところと実際によく聞かれる(はまりやすい)ところは一通り書きたいと思っています.まぁこの辺は単に,どうせ年に何度も,そして毎年聞かれるから(かといって全部予め話すことは到底できないから)なんですけどね.


こういうところは,トップエスイー日科技連SQiPなどで,多くの産業界の方々と関わるいろいろな機会をいただき,楽しくやらせていただいております.現場の実態とニーズ(あと偉そうですがレベル)が実感できるというのは本当に重要なことだと思います.

一方,こうやってその分野に浅くて国際的にImpact Factorの高いようなことを成し遂げたわけでもないぽっと出の人が,歴史ある当たり前のもの(コンピュータ科学がわかっていれば&英語でアンテナを張れば何てことはないもの)を日本語で解説し直すようなことで,こんなに目立ってしまうというのはどうなの?とも正直思っています(「日本のレベルが」という偉そうなことではなくて,自分自身の価値と位置づけについて).

もちろんサービスコンピューティング関連の研究は,今はやはりメインとして,方向性修正も含め進めています.一方,(関連したソフトウェア工学周りの方の)研究にも遅まきながら手を出し始めましたが,やっぱり片手間になってしまっているので,もっともっと時間をかけて世界に通じる結果を出さなければならない,ということが明らか.まぁがんばります.

トップエスイーまとめ(後)

前編からの続き.

位置づけ

印象上の誤解も多いですが,まとめようとしてみると,
  • UMLとかオブジェクト指向とかを教えるわけではありません.それくらいなら研究所・大学連携でやらなくてもどこでもやっているので.
  • ツールを使いこなすのが目的というわけではありません.そんなもの少し時間が経てば意味がなくなるので.ツールの裏にある思想(「何を目指すときにどういう原則に従うか,またその際にどういう選択にどういうトレードオフがあるか」)を学び,その実現の際に問われる問題解決能力・モデル化能力を鍛えます(習ったから必ずできる,ようなものではない部分も多々ありますが).
  • 結局,「科学的アプローチ」といった言葉に集約していますが,「客観的に判断・評価可能な」とか「担当者の能力にできる限り依らずに」とか「何となくではなく一定の手順に従い系統的に」とか,そういう考え方・アプローチが主役です.そういった考え方・アプローチで実現しようとする「良さ」「嬉しさ」はは,上で挙げた講座シリーズのようにいくつかあります.
  • 当然ですが,そういう考え方・アプローチの理想を万能に体現するような手法・ツールが,広く便利に使えるような形で存在するわけではありません.ソフトウェア開発という難しい問題において,「これを導入すれば万事解決!」なんて嘘はつけません.しかし,そういったある種の「目指すべき方向と目指し方」を実感できれば,それを踏まえた,自身の状況での一歩というものを考えられるようになるはずです.

修了制作

特徴的なのは,3ヶ月または6ヶ月の修了制作です.ここでは「自身の問題」を定め,トップエスイーで学んだアプローチでの解決を考えます.「自身の問題」とは,例えば下記のような話.
  • 業務ではまった・はまっている問題に対して,学んだアプローチを適用してみる.実際にはまった話を持ってくる人がいたり,自社の他の人を巻き込んで疑似プロジェクトをやってみた人がいたり.
  • 一般的な手法・ツールを学ぶので,それを自身の業務ドメインに適用するための支援を行う.例えば,よく使っているExcelでの表形式,Strutsの設定ファイル,BPMN記述等から,モデル検査ツールへの入力に変換する方法を定めるとか.
  • その他,手法/ツール自体の改良や連携支援を行う.難易度は高いですが,オリジナル言語用の分析手法を定めたり,支援手法・ツールを構築したりなどなど.
ほんとにいろいろな話があります.実は今までの制作一覧は公開されています

その他

人によっては,他社の人と当たり前のように日々議論できることがものすごくレアで楽しいことなのかもしれません.

以上ざっくばらんにまとめてみました.詳細な情報は公式サイトの方でどうぞ.

トップエスイーまとめ(前)

うちの研究所でやっている企業開発者向けの先端ソフトウェア工学教育コース,「トップエスイー」についてです.(公式ページ: http://topse.jp/

なぜかこのブログのしょうもない記事が検索で上位に来ている気がするので真面目に書いておきます.タイミング的には公募の〆切直前なので遅いのですが...

特に検索で来た方へ:あくまで講師側一個人の解釈です

受講生

年30人強の受講生.協賛企業からの派遣もしくは個人応募.30歳前後の人が大半です(「問題」が見えてきた人).やる気がある大学院生にもオススメ(企業の開発者に囲まれる場,ソフトウェア工学のそこそこ包括的な学習の場).基本1年コース,修了制作(後述)を1年の期間内ではなく期間後にみっちりやる選択肢もあり.特待生制度有りの50万ちょい.

講師・講義

講師約30名,だいたい研究所・大学の人と企業の人と半々くらい.講義は約20個+短期の特別講義.講師や講義の紹介はこちら

月曜から金曜の夜,18:20から1時間半を2コマです.もちろん選択履修式です.修了のために必要な単位が足りないということはあまりないですが,だいたい可能な限り(週2,3)受ける人が多いです.送り出した企業さんの許可をもらって,もしくは個人的に,週5で受ける強者も毎年何人かいます.もちろん復習・課題もあるので土日も使いますね.

一応6つの講義シリーズの内容を自分なりの言葉で言い換えてみると,
  • 要求工学: どう利害関係者のやりたいことを抽出,分析,整理し,それに対応したソフトウェアの作り方を定めていくか.
  • アーキテクチャ: どう変更容易性や再利用性の高いソフトウェアの設計を定めていくか.
  • マネジメント: ソフトウェアの品質等をどう感覚ではなく客観的な指標で定め分析していき,またそれをどう活用していくか.
  • モデル検査: 起きうる状態(状況変化のタイミング)が複雑な並行システム等において,どうその部分の設計の正しさを(ピンポイントでだが)網羅的に(!)検査するか.
  • 形式仕様記述: システムの要求仕様や初期設計の時点で,どう正しさを確認し,どうそれを維持して実装に近づけていくか.
  • 実装技術: 最終的な実装コードの正しさをどう検証するか.

講義は演習も多めで,特に各講義にグループ演習があります.ソフトウェア開発に含まれる問題は,「習ったからできる」「唯一の正解がある」タイプの問題ではなく,通常かけるコストや得られる利点の異なる複数アプローチが存在します.このため(優秀な)他の人たちと議論することも重要かと思います(単に,面白い,というのも大きいと思います).


後編へ続きます.

講義 → 入試 → フレンチ焼き鳥

日記モード力尽きました.書きたいことがたくさんあるときには書く時間がなくて,書く時間がたくさんあるときにはどうでもいいことしか書くことがないという.


水曜は社会人向け講義の今年度2つめスタート.ビデオ撮られて公開されているのですが,基本変な動きをしているので自分ではとても積極的には見られない.ほんとはちゃんと見て改善していくべきなのですが,自分がしゃべっているところを3時間見るとか精神修行です.もちろんアンケートでの評価は隅々まで見させていただいているのですけどね.相変わらず22時前まで皆さんばっちりがんばっていらっしゃいますね.

受講生の方に,山口のお土産としてういろうをいただきました.勝手にういろう=中部地方だけだと思い込んでいました.


木曜は大学院入試.まぁいろいろな人がいらっしゃって難しいですよね.もちろん大学院(しかも勤務先の大学院は原則博士まで)にわざわざ来ようという方は,大きな夢とやる気を持っていらっしゃっるわけですが,実際に始める前には大半が妄想なのですよね.もしも研究の仕方がわかっているならば,もう論文読むなどして最先端を知り,論文書けているわけですし.「妄想ともやもやをきっちりした一歩一歩に変える」のは指導教員の腕の見せ所な訳で,じゃあ入試としてはそれについてこられるか,というポテンシャルを見極めるしかないような.


金曜はけっこう自分の時間をとれてみっちりお仕事.夜は新丸ビルでフレンチ焼き鳥

トップなエスイー講義最終日

今日は社会人講義の最終日.緊急着陸事件のため1週間遅れて,こんな週にもやらせていただいています.


最後は「答えがない問題」のグループ議論を行うのですが,相変わらずこちらも楽しいです.アドホックネットワークのルーティングプロトコルの形式モデル化と検証とか,そういうレベルの話なのでネットから写すとかそういうこととは一切無縁.

一方でレポートチェックもなかなか大変です.今回は1週間遅くなってしまったのでもちろん期限を1週間延ばしていますが,成績提出期限は変わらないので,まぁ月末にがっとやります.


講義が終わった後,「ずっと教室にいるので,質問しつつ課題を今解きたい人はどうぞー」と言ったら,皆さん遅くまで頑張って下さりました.今日は1コマだけだったので講義は8時前に終わりましたが,結局10時過ぎまでやってらっしゃいましたね.

自分は誰よりも家が近い自信がある?のでよいのですが,ということは皆さんどうせ家でそれくらい時間をかけてるということですよね.

月曜から金曜まで週5日受けている方もいらっしゃります.すごいですね.刺激になります.

反省

社会人向け講義2週目.時間がなくなるといろいろ悪いところが出てくるのが自分の良くないところ.

そういうモードに入ると,8年前に予備校の研修でたたきこんでもらったこととか,そういうことが吹っ飛ぶのですよね.全員の顔を順々に見るとか,必要以上の謝る言葉を入れないとか,諸々.

お世辞かもしれませんが,個人面談で「いい先生」として目の前で名指ししていただいたばかりだったのでしたが.

この講義も3年目とあって準備不足というか油断しましたかね.

社会人向け講義開始

今日から社会人向け講義の自分の担当分開始.緊急着陸事件で1週間ずれています.

先週は安全策をとっただけで結果論としては講義時間に間に合っていたのです.が,今思うと,もしやることにしていたら寝ブッチしかねない感じでしたね.実際には15時頃に洗濯を終えて,そこから13時間くらい眠り続けましたが,その状態で3時間ほど起きていられたかどうか(講義始まればそういうモードに入れるのでもう関係ないのですが).


講義は夜に2コマ,21:30まで.去年は21:45まででしたが,この時間になると15分早いとだいぶ違う気がします.うちのビルは,22時を過ぎると出口やエレベータホールが変わりますしね.


しかしそんな時間になっても外は蒸し暑い.3時間ほどの講義よりも,帰宅する15分ほどの道のりでぐったり.

高等学校と高等専門学校と高等教育のカンケイ

今日から トップエスイーでの社会人向け形式仕様記述講義開始.自分の担当は7月中旬からなので今日は「いた」だけなのですが,相変わらず2コマやって22時前だと,「終わった後一休み」しているといつの間にか日付が変わってしまっています.


突然ですが,
  • 高等学校,いわゆる高校で行っているのは中等教育,特に中学校で行われるものと区別して後期中等教育とも言う.
  • 高校卒業後の大学,短大等での教育は高等教育.
  • 高校卒業後に通ういわゆる専門学校,厳密には専修学校のうち専門士の称号が出るものは,高等教育.
  • 高等専門学校,いわゆる高専は,中学卒業程度を入学資格とした5年制が主であり,実質的には3年間後期中等教育に該当するものを行うとともに,2年間高等教育を行っているようなものとも見なせる.ただ「3年+2年」という分け方には内部的になっていないだろうし,法的には高等教育機関という扱い.
・・・でいいのかな?

例のプログラミングコンテスト(ICPC)の受付締切が迫り,問い合わせをがんがんいただいているのですが,参加資格では「初めて高等教育機関に入学した時期」が問題となってくるのですよね.回答メールを書いていて,「文面から予測するに,この方のいう専門学校は,4年目から実質的に高等教育が開始されると見なせる高等専門学校のことではなく,中等教育を行う高等学校を出てから入学し高等教育を受ける専修学校のこと,かな」という,書き出してみたらとても合っているように見えない論理を整理.

5期離陸

今日は社会人向け教育コース(トップエスイー)の初日.正確にはプレ講義はあったのですが,今年度からの新システムの初日.昨日の朝とか先週末あたりはもうどうなることかと思いましたが何とか離陸.頑張って下さった皆さんに感謝です.

そのコースでは,夜の6時半から9時半くらいまで講義.しかも皆さん週に2回くらいは来てらっしゃるのですよね(たまに週4とかの強者もいますが).昨日の話とつながりますが,実現したい「価値」へのモチベーションがあってステップを踏み出しに来ている人たちは強いですし,とても刺激になります(ほぼ同世代or年上ですし).
ようこそ!
  • 累計:

中の人(石川 冬樹)

情報系研究所の准教授(32歳)
神田・神保町付近

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